――就任の抱負から。
「当社はトピー工業のメーカー商社という位置付けで、トピー工業の技術力やブランド力が当社の強みになっている。この強みを活かすことで新たな価値を生み出し、マーケットとトピー工業グループを繋ぐことによって、グループ全体の価値最大化に貢献する。従来の商社機能にとどまることなく、多様化するニーズや課題に応えるソリューション集団として、変化するマーケットで収益を拡大するため、現場の声に耳を傾けながら、会社を成長させていきたい」
――前期決算結果は。
「2026年3月期決算は単体ベースで売上高が304億4100万円、営業利益は14億7700万円、経常利益が15億4700万円となった。25年3月期で自動車部品関連の特需があり、その反動影響で減益となったが、労働生産性の向上や収益構造の変革など各種施策を推進した結果、収益は高い水準で維持し、営業利益は中計目標を超過達成できた」
――今期の見通しを。
「27年3月期は売上高が305億8300万円、営業利益は14億6400万円、経常利益が15億700万円を計画している。中東情勢や為替、人手不足など国内外のリスクを織り込み、前期比減益を想定する。現行中期経営計画の基本方針『グループ連携の深耕』『グローバル調達』『販売の強化』と、それらを支える業務基盤の強化を迅速に実行することで、確固たる収益基盤を構築する」
――中期経営計画で取り組む施策は。「当社の中計期間はトピー工業と異なり、19―28年の長期経営計画を策定した上で、期間を区切ることで中計としている。中期的には変化に対応することができる仕組みを作り、短期では稼ぐ実力を高め、現行5%程度の売上高営業利益率を1ポイント以上引き上げたい。鉄スクラップなど原材料を扱うマテリアル営業部は子会社のトージツがスクラップヤードを有し、トピー工業豊橋製造所向けを主体に鉄スクラップを納入している。トージツの機能を最大限発揮して、集荷を促進する。グリーン戦略として環境を意識した商材を開拓するとともに、グローバル戦略で取引先や取引国を拡大したり、部門横断によるグループシナジーの向上を視野に入れたセグメント戦略に取り組む。またリサイクルが困難なスクラップのリサイクルスキームを構築し、国内外の鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカー向け再生原料や副原料、資材の取り引きを増やす。高炉の電炉化でリサイクル市場がどのように変化していくかを注視していきたい」
「鉄鋼・建設営業部は豊橋製造所内に加工センターを置いており、自社加工機能をより充実させて営業と加工、管理という3つの機能を強化しながら建築、土木両分野の幅広いニーズを捕捉し、マーケットシェアを拡大する。産業機械営業部は輸入製品が増えて価格競争が厳しくなる中、顧客の課題を解決する設備を提供する。建機部品営業部はトピー工業と連携を取りながら、建設機械用履帯と工業用ファスナーなどの拡販に取り組む。自動車部品営業部はトピー工業の製品を販売するケースと、アルミホイールなど当社が自社で調達して売るケースがある。自社調達分野では積極的に最新モデルを投入し、付加価値販売を推進する」
――海外展開も重要になる。
「台湾と中国・大連に海外拠点があり、日本国内への輸入品などの管理を行っている。グローバル展開は今後の課題。トピー工業が事業を展開し、当社も現地販売先を有するアメリカは1つの候補エリアになり、幅広く可能性を検討していく」
――新規事業は。
「事業横断活動『STIC NEXT』を掲げて新技術や新商材を見出し、展開している。各部門が連携し、担当顧客に別部門の商材を提案する動きも加速させる。新商材として例えば、リサイクル領域では当社子会社のトージツを通じて使用済みゴムクローラーを集荷し、豊橋製造所の電気炉で処理して再資源化することを検討している。環境商材として業務用エアコンの室外機を自動制御して電気料金を削減する空調に特化した省エネ・節電システムを取り扱っており、豊橋製造所などトピー工業の各製造拠点で導入を進めているところだ」
――設備投資計画を。「鉄鋼・建設営業部では豊橋加工センターで機能や制御を高めるシステム改修を進めており、業務効率化などに結び付ける。マテリアル営業部では顧客ニーズに対応する商材を提供するための投資を検討している。また現中計内では戦略的なM&Aも視野に入れている」
――鉄鋼商社では珍しい機能も有する。
「ファシリティビジネスとして、オフィス用家具を取り扱う。またトピー工業から譲り受けた事業として、屋外広告ビジネスを展開している。都内の葛西スタジオで製作し、都内数十カ所に屋外広告を掲出している。渋谷のスクランブル交差点など目立つ場所も当社が手掛けており、ニーズはある。トピー工業グループ以外の企業にもPRしていきたい」
――AI、IoT、DXの導入は。
「新基幹システムを導入して稼働させたところであり、集積したデータを活用し、デジタル化を進めていく段階にある。AIの進化スピードが速く、私的使用においても情報力や処理速度に圧倒される。AIを業務に取り込むよう検討する」(濱坂浩司)
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▽酒井哲也(さかい・てつや)氏=87年法大経卒、トピー工業入社。スチール事業部で鉄鋼製品の営業に20年以上従事し、中でも造船用形鋼が長く、日本全国の造船所を奔走。造船専用に開発した平鋼や不等辺山形鋼などを猛烈にアピールし、電炉鋼材の新規マーケット開拓に結び付けた経験も。13年の人事部への異動を機に管理部門で辣腕を振るう。18年執行役員人事部長から人事、総務畑を歩み、23年常務執行役員総務部長、24年専務執行役員自動車・産業機械部品事業担当、自動車部品事業部長を経て、26年4月にトピー実業顧問となり、同6月19日付で現職に就任。
毎朝ジムに通い、健康と体形の維持に務める。好きな言葉は「率先垂範」。64年11月2日生まれ、東京都出身。


























