2025年11月13日

TASS2025/台湾最大級のサステナブル展/アジア7カ国に聞く 自国の現状・展望

サプライチェーン関連の国際組織「国際購買管理連盟(IFPSM)」のアジア・太平洋メンバーが、TASS2025の開催に合わせて台湾・高雄に参集し、産業新聞社の取材に応じて自国の現状や課題、展望についてコメントした。

香港物資購買供給学会(IPSHK)

香港は2050年までにカーボンニュートラルの達成を目標に掲げ、中国の「第15次五カ年計画」と連携して、長期的に持続可能なサプライチェーンの構築に注力している。その一環として再生可能エネルギーや水素エネルギーを推進し、「グリーン製品」への需要も高まっている。グローバルサプライチェーンの構築には各国の協調が最も重要だ。各国が得意分野を生かして連携を進めていく必要がある。

インド物資管理協会(IIMM)

インドのサプライチェーンは、道路網の整備や統合された輸送システム、電気自動車の導入など、インフラが世界水準に改善されたことが効率化に貢献している。インド政府は「自立したインド」政策を進めており、現在では軍の装備だけでなく農業、工業製品、インフラなどさまざまな分野で自国生産を進めている。

インドネシア調達専業協会(IAPI)

インドネシアでは調達の効率化と透明性を目的に国家調達制度を整備し、市場分析を義務づけた上で電子調達システムや電子カタログを導入している。中小企業も参加しやすく、サプライチェーンの短縮化とコスト削減に貢献する。課題はグリーン製品の価格の高さや環境意識の不足などがある。経済・社会・環境・ガバナンスの4つの柱を基盤に、長期的なライフサイクルコスト視点での調達が求められる。

マレーシア購買物資管理協会(MIPMM)

サプライチェーンはコントロール管理が不可欠で、一貫性を保つことが成功の鍵だ。過去は主に製造業に焦点を当てていたが、現在ではサービス業や銀行、石油会社、政府機関までに広がる。マレーシア政府も「サプライチェーン担当大臣」という役職を設けている。

フィリピンサプライマネジメント協会(PISM)

フィリピンでのサプライチェーンにおける持続可能性への意識は確実に高まっている。だが、島々をつなぐ交通・通信インフラには課題があり、地方での物流障害がサプライチェーン全体に影響する。サーキュラーエコノミーの実現にはコストやデジタル人材の不足、中小企業の育成、モニタリング体制の構築などの課題克服が求められる。

タイ購買供給チェーン管理協会(PSCMT)

タイでは持続可能性に関して、ラーマ9世国王の哲学「足るを知る経済」という考えに基づき「BCG(バイオ・循環・グリーン)経済モデル」を推進している。これがタイのサプライチェーン発展の中心的な枠組みで、法律や政策の柱でもある。今後は国際協力の推進に加え「デジタル」「AI」「データ解析」「ブロックチェーン」が重要だと考えている。

韓国サプライマネジメント協会(ISMK)

韓国政府はサプライチェーンの安定化を国家戦略として推進している。原材料や重要鉱物の海外依存や地政学的な貿易摩擦、石油化学分野の過剰生産能力、サプライチェーン教育、国産化の遅れなどの課題がある。供給源の多様化や国内製造力の強化、レジリエンスの向上、脱炭素化、国際協調の5つの柱を重視し、サプライチェーンの安定性と持続可能性を両立する戦略を進めている。







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