非鉄業界で働く/女性管理職編 インタビュー/社内アイデア発掘し形に

非鉄業界で働く/女性管理職編 インタビュー/社内アイデア発掘し形に
 明電舎の経営企画本部で事業開発部長を務める坂野仁美さん。新規事業の創出に向けた「MASTプロジェクト(MASTは明電舎の、明日を、創造する、考えるのそれぞれの言葉・意味の頭文字による造語)」や、その一環である社員のイノベーションマインドの醸成などが目的の社内アイデアコンテストを通じ、社内の意識改革や会社の成長に貢献したい考えだ。社内の女性従業員としては比較的早い段階で課長、部長職に就いた傍ら、元々は研究者を志望していたという坂野さんに、これまでの経歴や現在の仕事に対する思いを聞いた。

 ――事業開発部の業務について。

 「簡単に言えば、新規事業開発をやりましょうと声を上げ、それを推進する部署になります。MASTプロジェクトは社内からアイデアを集める手段として22年に始まりました。新規事業の創出ももちろん大事ですが、どちらかと言えば社内の人材を発掘するイノベーション風土の醸成が強いのが特長です。従業員からのボトムアップのアイデアや思いを形にしようと、毎年20テーマぐらい進めています」

 ――大学時代に打ち込んだことや理系を目指した理由。

 「小さい頃から人に何かを教えるのが好きで、将来は人に関わる研究者になりたいと思い、工学部応用化学科に進みました。大学院では物質工学を専攻してバイオフィルムを形成する微生物の遺伝子を研究していました」

 ――明電舎への入社のきっかけ。

 「水処理をやっていると知り、大学での研究が水処理に近いところがある、それなら水処理の研究者もいいかなと考えて応募しました。当時の人事担当者がやりたいことをしっかり聞いてくれるなど、入社前の段階で人に優しい会社だと思ったことを覚えています」

 ――これまでの経歴について。

 「入社後は基盤技術研究所分析技術研究部に配属となり、材料分析に2年間携わりました。3年目に開発統括部に異動し、それからの9年間は研究開発の成果から生まれてきたものを事業にするための共同研究や展示会に関する企画の仕事をしていました。19年に事業開発部に異動し、現在に至ります」

 ――最初の配属先は、自分が希望する部署ではなかった。

 「配属直前になって希望の部署に行けないことが分かりました。その一方で、実際に研究所に配属され自分が研究職に向いていないことなどが分かったほか、3年目以降に企画の仕事を手掛ける中で上司に助けてもらったり、上司が自分の個性をうまく引き出してくれたりしてくれたことが今の自分につながっていると考えれば、むしろ行かなくて良かったと考えています」

 ――印象に残っている出来事が3つある。

 「1つ目は、入社5年目の頃に部長代理として1人で中国に50回ぐらい出張に行った時のことです。研究所出身で事業のことなど全く分からない中で、文化の違いや多彩な価値観に触れさせてもらえたこと、また若い時に経験値を上げられたことは大きかったです」

 「2つ目は創業120周年記念事業のプロジェクトに参加したことです。国内外5カ所で技術展をやるということになり、レイアウトの作成を任されました。社内にどんな製品や技術があるのか、それらに関わる担当者は誰かといったことを知れたこと、またこれを機に社内の人脈が広がり、今も困ったときは相談にのってもらえています」

 「3つ目はビジネススクールに通ったことです。20年に事業開発部企画課の課長になり、当時の部長と新規事業の創出を全面的にやろうと決めたものの研究所出身の自分にとっては事業をつくるということが分かっておらず、引っ張っていくには体系的に学ぶ必要があると考えて入学しました。昼間に仕事をしながら、夜は学校、週末は学校の課題と大変でしたが、切磋琢磨して卒業できたことは人生においても大きな出来事でした」

 ――仕事では「1個言われた時に120%で返す」ことを心掛けている。

 「就活がうまくいかなかったときに研究室の教授が『うまくいかない時は、目の前のこと1個に集中して頑張ればいい』と言ってくれたことが元になっています。言われたことの裏に何があるのかを考え成果を出すことによって、おのずと120%になると信じて仕事をするようにしています。就活でうまくいかなかったときにも研究に打ち込め、水処理をやってみたいと思えたのも教授の言葉があったからなんです」

 ――今後の意気込みを。

 「明電舎がこれまで守り続けてきたものを大事にする一方で、世の中の変化に対しても会社として適応していく、そういう風を吹かせられるよう、引き続き業務に取り組んでいきたいです」

 ――健康に留意している。

 「ここ10年ほど、ホットヨガとゴルフに取り組んでいます。ホットヨガは自分の人生の中で一番長い習い事になっています」

(松田 元樹)





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