ト
ーア・スチール(野村聰社長)は経営再建を断念し、会社を任意清算する方針を固めた。トーアに51%出資しているNKKは、きょう4日に取締役会を開き、トーアの任意清算を決定する。民間の信用調査機関によると負債総額は約2600億円。NKKはトーア清算の受け皿となる新会社を全額出資で設立、トーアから営業権と資産、従業員の大半を移管し、電炉事業を継続する。トーアの清算に伴い、NKKは今3月期に500億円超の特別損失を計上するものとみられる。
トーアは鋼材市況の低迷に加え、約1300億円の鹿島製造所の設備投資に伴う金利負担などが経営を圧迫、98年3月期までに4期連続の赤字となっている。98年3月期の売上高は1311億円、経常損失は240億円。長期借入金1138億円、短期借入金438億円など有利子負債は2200億円強。欠損金は67億円、当期未処分損失は314億円となっており、今9月に100億円、来年3月には250億円、合計では350億円のワラント償還がある予定だった。
今春、70億円強の第三者割当増資を実施。NKKは出資比率を従来の36%から51%に引き上げて、トーアを子会社化し再建の道を探ってきたが、トーアの資金繰りは悪化していた。
NKKは、来年3月期にも福山製鉄所の大形工場などを一部現物出資し、受け皿会社を設立する。トーアの資産、従業員の大半を受け入れ、H形鋼や棒鋼などを中心に電炉事業を継続する。収益悪化要因となった主力の鹿島製造所は一部設備を廃棄し、残りを受け皿会社に売却する方針。姫路製造所、仙台製造所などの土地・設備も受け皿会社に売却するとみられる。売却で得た資金とNKKからの拠出金を合わせ、負債の返済に充てる。
トーアは関連会社にトーア商事など16社の関連会社を有しており、この動向が注目される。なかでも、鋼材および原材料・諸資材の販売、不動産の管理および賃貸、損害保険代理業を主とするトーア商事の動向がポイントとなってくる。
日
本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日本製鉄社長)は3日、与謝野馨通産大臣を表敬訪問し、約1時間にわたって懇談した。
千速会長が内需不振で低迷が続く生産状況などを説明したほか、「電炉業界は規模が小さく過当競争」であることや、大倉商事問題など「足もとの経営環境は小さい流通も含め極めて厳しい状況」にあることなどを報告。
これに対して、与謝野通産相は、経営環境の悪化は「貸し渋りによるものか、業種そのものが悪化しているか」を質問したうえで、「銀行に対して不良債権処理と貸し渋りの緩和と相反することを求めており、過渡的状況にある」とし、「経営が悪くないのに銀行の理由で経営破綻を引き起こすことは好ましくない」と、金融問題の業界経営への波及に懸念を示した。
会談ではこのほか、通産相が極薄ブリキ鋼板の開発など新製品開発が活発に行われていることや、鉄スクラップの調達は国内で行われているのか、アルミとの競合などについて質問。千速会長は「新製品開発は量的拡大につながりにくい」ことや、鉄スクラップ調達は米国などから輸入されている現状を説明。アルミとの競合については「飲料缶で競合していたが、最近はこの分野ではともにペットボトルに押されている」と報告した。
千速会長は、金融再生トータルプランに野党も歩み寄ってきていることにも触れ、早期の実行を求めた。
会談の最後には、通産相が「ぜひ一度、君津製鉄所を訪問したい」とも述べるなど終始なごやかなムードで懇談した。
新
日本製鉄は、コンピューターソフトの2000年問題に対処するため、96年度から新日鉄情報通信システム(エニコム)に製鉄所の製造管理ソフト、本社部門のOES(オーダー・エントリー・システム)などの情報系ソフトシステムの組み替え作業を一括発注しているが、98年度末までにほぼ基本部分のソフト手直しのメドをつけた。鉄鋼メーカーの中では先行した形であるが、今回の2000年問題を契機にソフト全体の開発をやり直した部門もあり、比較的大掛かりなソフト組み替え作業となっている。最終的なソフト組み替えの完了は99年末の予定で、コンピューターの読み違いで発生が懸念されている2000年問題はクリアできることになる。
コンピューターソフトの2000年問題は、2000年を末尾2ケタの00で表示しているのでコンピューターが1900年と読み違え、製造業ではオーダーや製造命令が伝わらない可能性が指摘されている。新日鉄は全国9カ所の製鉄所の製造管理をすべてコンピューターで行っている。同時に営業部門も商社からのオーダーを集約して、製鉄所に製造指示するためのOESなどが多様なソフトで受注・製造・デリバリーシステムが構築されている。このため2000年時点でコンピューターの読み違いが発生しないよう96年にエニコムにソフトの見直しと開発を発注。これまでの作業で98年度末までにほぼ改善のメドをつけた。この後、99年末までに完成の予定で2000年までに万全の体制を整える。
新日鉄の2000年対策を受注したエニコムでは、社内に「2000年問題プロジェクトチーム」を設置して、同じ新日鉄グループ企業のソフト開発の受注に乗り出している。すでに日鉄建材、大同特殊鋼などの鉄鋼メーカーからソフト開発を受注しており、今後も受注拡大を進める。
鉄鋼産業のコンピューター化は高炉、電炉メーカーを中心に末端のメーカーまで浸透しており、2000年問題は、極めて大きな問題となっている。すでにソフト開発に着手しているメーカーもあるが、これから本格化するところが一般的。このため、金融を含めた産業界全体ではソフト開発には、15万人・月の技術者が不足するとの指摘もある。こうした状況から新日鉄以外の高炉も、直近での混乱をさけるため早めにソフト開発を進めており、今年度中には大筋で開発のメドをつける見通し。
関
東地区の鉄スクラップが続落しているが、トーア・スチールが任意清算に至ったことで、鉄スクラップの底値がつかめず大幅値下がり必至となった。
関東地区の鉄スクラップ炉前価格は北関東が9700―1万円、湾岸周辺で1万―1万1000円まで値下がりしているが、大手電炉トーア・スチールの行き詰まりで、関東だけでも月間4万―5万トンの鉄スクラップが余剰になり、仙台、姫路にも製造所を有しているだけに東北、関西への影響も大きい。このため、関東の有力鉄スクラップヤード業者は、先行きH2炉前8000円ぐらいまで値下がりするのではないかと危機感を募らせている。
世
界最大の工業用ドラム缶メーカー、バンリアー社(本社=オランダ・アムステルビーン、ウィレム・デブルクト会長)は、三重県藤原町に建設したドラム缶工場について今月から一貫ラインの試運転に入り、10月から商業生産を開始する。初年度は30万本、3年後には年間70万本の生産を見込んでいる。
海外メーカーによる初のドラム缶工場建設は昨年10月に着工し、今年4月末に建屋が完成、6月に設備の据え付けを終えた。7月から各機械設備の試運転を進め、今月から一貫製造のテスト稼働を始めた。設備的な特徴として、リン酸処理にあたって日本で初めてクローズド式表面処理設備(ケミコート社製)を導入した。投資額は総額25億円。生産能力は年間100万本で、化学メーカー主体に販売していく。
製造品目は、JIS規格の200Lスチールドラム缶と、日本では初めての生産となる欧米規格の55ガロン缶。200L缶70%、55ガロン缶30%の割合で生産する予定。オープン缶、クローズ缶、内面塗装缶3種を生産する。缶の肉厚は国内製品と同様の1・2ミリだが、顧客の要求に応じて1・2ミリと1・0ミリの組み合わせなど、より薄肉の製品供給も考慮している。
スチールドラム缶製造が軌道に乗って以降、今後はその他の工業用容器や、各種包装製品の生産も検討している。
なお材料ソースは不明だが、「国内と海外数社からの購入」(土方武・日本バンリアー社長)という。
大
幅な生産縮小が続いている冷間引抜鋼管業界が、数量・価格とも底入れの気配を示している。冷間引抜鋼管専業メーカーの生産が6―7月と2カ月連続して2万トンの大台を回復するとともに、価格も下げ止りの兆しをみせている。ただ、建設機械、トラックなど大幅な生産縮小が継続している販売先も少なくないことから、回復基調に転じるにはなお時間がかかるとみられている。
最大手の片倉の鋼管をはじめとする冷間引抜鋼管各社は主力の自動車、建設・産業機械向けの需要減少により大幅な操業低下を余儀なくされている。前期(4―6月)の生産は、建機向けなどを主力とするメーカーが前年同期比50%の大幅減少となったのをはじめ、全体として20%の減少(全国鋼管製造協同組合加盟会社)。月間ベースでは1997年の月間平均生産量2万3900トンに対し、4―5月は2万トン割れの低水準が続いていた。とくに、西部地区各社の状況が悪化している。
しかし、6―7月はいずれも2万トンの大台に乗せ、減少に歯止めがかかった気配が出ている。また、これまで販売減少につれて下落してきた販価も「各社の採算の悪化に伴い、値下げが困難な状況」(高炉メーカー)になっていることから、採算割れ販売回避の動きが出ているという。
大
和ハウス工業は、業界で初めてアモルファス素材を使った「屋根一体型太陽光発電システム」を実用化し、同社住宅商品のオプションとして販売を開始した。
このアモルファス太陽光発電は、従来の結晶系太陽光発電に比べてEPT(エネルギーペイバックタイム)が短いことに加えて、それ自体の製造過程でCO2の排出を大幅に削減するなど、より環境への負荷を低減するシステム。
同システムで採用されている非結晶系のアモルファスシリコンのセルは、真空中で原料ガスを分解し、基盤上に薄膜を堆積させる製造法。従来の結晶系セルは、製造時の温度が1000―1500度Cに達するのに対して、アモルファスシリコンのセルは300度Cで製造できることで、省エネルギー化とともに、シリコン使用量も結晶系と比較して150分の1と資源の低量化を図っている。
また、表面がフッ素樹脂のため、ガラスのような反射公害もないことや、屋根一体型のため取付架台やパネル部分を別途設ける必要がないなど、施工の省力化・軽量化を実現した。
定格出力は2・85―4・75キロワット。販売地域は北海道・沖縄を除く全国(多雪地域を除く)で、価格は3・25キロワットのシステムで335万円(屋根材含む、材工とも)。初年度は500セットの販売を目指す。
大
阪の冷延薄板はベース5万6000円どころで弱含み。需要、在庫バランスどれをとららえても薄板3品の中で、もっとも厳しいポジションにさらされている。
本来なら秋需期待感が台頭、売り腰も自然に引き締まってくるのがこの時期だが、需要見通しが立たないためコイルセンター、特約店の売り腰は一向に締まらない。わずかに望みをつなぐとすれば、新冷凍年度に入るエアコン、クーラー関係。
7月末の地区コイルセンター在庫は8000トン減少したが、この程度では過剰感は払拭されない。さらに問題なのは輸入岸壁在庫。2カ月分に相当する分が積み上がっている。
市中では5万4000円どころの安値が散見される。
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