2026年度の事業環境は厳しいが、USスチールが収益に貢献するステージに入る。USSの26年度の収益は1000億円を見込んでいる。全社の実力ベースの連結事業利益は7000億円以上、上期3000億円、下期4000億円を予想し、特に下期の4000億円にこだわっている。年率8000億円以上としてUSSは30年に3000億円を目指し、グローバル事業利益1兆円の達成が視界に入る。
USSについては、25年度はマイナス56億円となったが、26年度の収益見通しについては、労務費やエネルギーコストはじめインフレ影響がマイナスとなるが、足元の鋼材市況の上昇、収益改善努力1100億円などで合計1000億円となる。100名近い派遣者が現地で操業改善、品質改善に取り組んでいる。半製品のスラブを100とした場合に製品となる歩留まりをみると、日本国内は80数%だが、USSは北部の製鉄所で60%程度と20%程度低い。古い設備や一貫の品質管理など課題が多く、設備投資やソフト面の解決など重点的に力を入れている。コスト改善努力400億円程度、南部の電炉ミニミルのビッグリバースチールの生産が立ち上がるプラス600億円をカウントし、26年度はUSSがいよいよグループの収益に貢献してくる。
中東影響はグローバルなサプライチェーンの中で供給される資材の調達が難しくなり、調達コストが上がることで当社へのコストや生産への影響が懸念される。当社は中東向けに高合金系の付加価値の高いシームレスパイプを輸出しており、輸出の直接的な影響を受けている。需要産業について世界全体で影響が出る懸念もある。中東エリアは鋼材を年3000万トン輸入し、7割が中国材。あふれた中国の鋼材輸出が向かう先によってその地域の需給が緩和し市況が下がる可能性がある。
中東情勢の先行きは見通しにくく、通期業績への影響を定量的に算定するのは難しいが、第1四半期に顕在化しつつある影響は500億円とインパクトは極めて大きい。内訳は100億円が鋼材出荷、300億円がエネルギー・石油化学系資材のコスト影響、グループも100億円程度の影響を受ける。特にコスト影響の300億円については可能な限り製品価格に転嫁していく。
USS子会社のスロバキアのUSSKを欧州域内の経営体制強化を目的に当社の直接出資体制に移行することを決めた。欧州には山陽特殊製鋼の子会社で特殊鋼棒鋼を製造するオバコがスウェーデンにあり、山特鋼の経営統合によってオバコも当社の直接出資子会社となり、薄板系一貫製造のスロバキアと特殊鋼棒鋼のスウェーデンの両拠点を構え、欧州は新たな地産地消体制となる。インドではハジラ製鉄所の能力拡張に取り組みつつ、2つめの拠点として南部で第1期年700万トン規模の製鉄所建設の起工式を3月に行った。米国、インド、ASEANに欧州を重点地域に加え、グローバルのマネジメント体制を強化していく。
山陽特殊製鋼の経営統合を決めた。当社の特殊鋼棒線の商品ポートフォリオと軸受鋼を代表する山陽特殊製鋼の商品ポートフォリオを組み合わせるとさらに幅広い特殊鋼棒線の商品ラインアップが完成する。営業が一体となる価値として、当社の重要な取引先のお客様で山陽特殊製鋼が十分に参入できていないお客様に対して当社の営業力を活用できる、その逆もあり得ると考えている。カーボンニュートラル(CN)を含めて山陽特殊製鋼の電炉一貫プロセスがレパートリーに加わり、対応力の幅が広がる。このような点を生かして国内の特殊鋼のマーケットのプレゼンスを高めていく。欧州についてオバコは欧州市場の特殊鋼のリーディングカンパニーであり、北欧でほぼCNのプロセスで製造している。オバコをどう成長させていくのは課題でもあり、利益成長に向けた楽しみでもある。
国内需要は減少していく見通しだが、当社の生産能力をこれ以上減らすというのは、ファーストチョイスと考えていない。コスト削減に注力しており、コスト競争力を高める努力とのバランスにおいて、どれだけ国内の生産規模を維持できるのかが、直面している課題となる。

















