1
2024.12.4
2023年8月9日
鉄鋼業界で働く/ 女性現業職編/インタビュー(下)/縁の下の力持ちに
住宅用換気部材メーカーのハウゼコ(本社=大阪市中央区、神戸睦史社長)加西工場の製造部5S改善推進室長、岡本恵子さん。梱包、タレパン、組み立てなどを担当し、同工場で女性初のリーダーになった。家庭との両立や、女性が働くことへの思い、今後の展望などを聞いた。
――家族の協力が。
「家庭と仕事の両立ができているのは、両親が陰ながら応援してくれて、理解し協力してくれているおかげですね。だいぶお世話になっていて。2人からサポートしてもらっている以上、諦めたらいけない、頑張らなきゃという原動力につながっています。これから恩返ししないと。女性で子供を育てながらだと、どうせ休むんだろうという印象を持たれがちなのが実情です。ハウゼコではそのような雰囲気が全くなかったので心強かったですね」
――娘との関係は。
「わが家は母子家庭で、娘が小さい頃、『仕事を一生懸命頑張って他の子と変わらない生活を送るか、苦しいこともあるかもしれないけれどお母さんと一緒に過ごす時間が多い方がいいか』と尋ねたことがあります。その際娘が前者を選んだので、ここまで働いている部分もありますね」
――工場にも来た。
「実は高校卒業後の春休みに娘がアルバイトに来ていて、一緒に工場で働きました(笑)。神戸社長に相談すると快諾してもらえて。当時は私がリーダーで、娘と娘の友人の2人が組み立て作業を担当。私は親なので教えるのは良くないと思い、他の社員に指導を頼みました。まだ寒い時期だったのですが、初めて『お金を稼ぐって大変なんやな。こんな仕事をしているんやな』と言ってくれて。子供が見ていることを忘れて仕事モード全開になることも多く少し気恥ずかしかったですが、知ってもらえてうれしかったです」
――悔しい経験も。
「娘が学童にいる時、『お前のお母さんは絶対に迎えに来ない』と言われたことがあったそうです。仕事をしているから忙しくて来ないと。娘は悔し泣きをしていて、私も悔しかった。急いで一番に迎えに行きましたね」
――仕事面では。
「『女性だからできない』と思われるのが嫌で、梱包からさまざまな業務へと挑戦を重ねました。今後入ってくる女性社員のために道を作りたいという強い思いを持っています。工場の操業開始時は女性の管理職が1人もいなかったので、役職って何を基準に就くんだろうと考えながら働いていましたね」
――女性が多い。
「加西工場では社員138人のうち、現場で17人、事務所で16人の女性が働いています。20―50代と幅広いですね。子育て世代はもちろん、孫の世話をしている方、介護をしている方、独身などさまざま。私自身も娘が独立するまでは、子育てをしながら働いていました」
――女性に増えてほしいか。
「女性に、というのはないですね。やる気のある人材に増えてほしいです。『こういうことをやりたい』『これを教えてほしい』といった明確な思い、仕事に対して積極的な気持ちがある人に来てもらえれば。聞いたら答えられるけど、自分から話せない受け身な人が現業職に多い気がします。男女関係なく、自分から困っていることや提案を言ってくれたら、さらに協力しやすくなりますね」
――業界にどう変わってほしいか。
「神戸社長は、正社員も準社員も派遣も、本人の国籍も関係ないと仰ってくださいます。他企業で、準社員やパートで主任という立場に就く例がありますよね。自分たちはもちろんさまざまな会社で、雇用形態に関係なく責任のある立場に就く機会が皆にあれば、一人一人のやりがいが増すのかな、女性も認めてもらえるチャンスがあるのかな、と思います」
――今後の展望を。
「社員の皆に、上に立つことへ夢や希望を持ってもらえるようにしたいですね。大変なことがあるかもしれないけれど、将来リーダーになる子が出てくるまでにさらに効率化を進め、働きやすい環境で引き渡せるときが来れば。自分自身については、もっと現場の社員と積極的に会話したいです。工場内を歩いていたら『こんなこと困っているんだけどどうしたらいいんだろう』と小さな悩みを気軽に話してもらえる存在になれたらなと。縁の下の力持ち、気軽に相談に乗れる何でも屋のような社員になりたいです」(芦田 彩)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
――家族の協力が。
「家庭と仕事の両立ができているのは、両親が陰ながら応援してくれて、理解し協力してくれているおかげですね。だいぶお世話になっていて。2人からサポートしてもらっている以上、諦めたらいけない、頑張らなきゃという原動力につながっています。これから恩返ししないと。女性で子供を育てながらだと、どうせ休むんだろうという印象を持たれがちなのが実情です。ハウゼコではそのような雰囲気が全くなかったので心強かったですね」
――娘との関係は。
「わが家は母子家庭で、娘が小さい頃、『仕事を一生懸命頑張って他の子と変わらない生活を送るか、苦しいこともあるかもしれないけれどお母さんと一緒に過ごす時間が多い方がいいか』と尋ねたことがあります。その際娘が前者を選んだので、ここまで働いている部分もありますね」
――工場にも来た。
「実は高校卒業後の春休みに娘がアルバイトに来ていて、一緒に工場で働きました(笑)。神戸社長に相談すると快諾してもらえて。当時は私がリーダーで、娘と娘の友人の2人が組み立て作業を担当。私は親なので教えるのは良くないと思い、他の社員に指導を頼みました。まだ寒い時期だったのですが、初めて『お金を稼ぐって大変なんやな。こんな仕事をしているんやな』と言ってくれて。子供が見ていることを忘れて仕事モード全開になることも多く少し気恥ずかしかったですが、知ってもらえてうれしかったです」
――悔しい経験も。
「娘が学童にいる時、『お前のお母さんは絶対に迎えに来ない』と言われたことがあったそうです。仕事をしているから忙しくて来ないと。娘は悔し泣きをしていて、私も悔しかった。急いで一番に迎えに行きましたね」
――仕事面では。
「『女性だからできない』と思われるのが嫌で、梱包からさまざまな業務へと挑戦を重ねました。今後入ってくる女性社員のために道を作りたいという強い思いを持っています。工場の操業開始時は女性の管理職が1人もいなかったので、役職って何を基準に就くんだろうと考えながら働いていましたね」
――女性が多い。
「加西工場では社員138人のうち、現場で17人、事務所で16人の女性が働いています。20―50代と幅広いですね。子育て世代はもちろん、孫の世話をしている方、介護をしている方、独身などさまざま。私自身も娘が独立するまでは、子育てをしながら働いていました」
――女性に増えてほしいか。
「女性に、というのはないですね。やる気のある人材に増えてほしいです。『こういうことをやりたい』『これを教えてほしい』といった明確な思い、仕事に対して積極的な気持ちがある人に来てもらえれば。聞いたら答えられるけど、自分から話せない受け身な人が現業職に多い気がします。男女関係なく、自分から困っていることや提案を言ってくれたら、さらに協力しやすくなりますね」
――業界にどう変わってほしいか。
「神戸社長は、正社員も準社員も派遣も、本人の国籍も関係ないと仰ってくださいます。他企業で、準社員やパートで主任という立場に就く例がありますよね。自分たちはもちろんさまざまな会社で、雇用形態に関係なく責任のある立場に就く機会が皆にあれば、一人一人のやりがいが増すのかな、女性も認めてもらえるチャンスがあるのかな、と思います」
――今後の展望を。
「社員の皆に、上に立つことへ夢や希望を持ってもらえるようにしたいですね。大変なことがあるかもしれないけれど、将来リーダーになる子が出てくるまでにさらに効率化を進め、働きやすい環境で引き渡せるときが来れば。自分自身については、もっと現場の社員と積極的に会話したいです。工場内を歩いていたら『こんなこと困っているんだけどどうしたらいいんだろう』と小さな悩みを気軽に話してもらえる存在になれたらなと。縁の下の力持ち、気軽に相談に乗れる何でも屋のような社員になりたいです」(芦田 彩)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
スポンサーリンク