通期見通しは実力ベースの利益で7700億円以上と前回比で700億円上方修正した。最大のドライバーはUSスチールであり、26年度のUSSの利益見通しは前回予想の1800億円から500億円上方修正し、2300億円以上を確保する。米国の鋼材市況は上伸を続けており、慎重に見極め、下期に一定程度反映したが、関税政策だけでなく、本質的には米国経済、鉄鋼需要の強さによるものと考えている。
通期の連結売上収益予想は11兆7000億円、そのうちUSSは3兆5000億円ほどとなる。実力利益予想7700億円以上のち国内は3800億円で前回から変えていないが、海外はUSSを上方修正し、原料事業の収益もプラスとなり、3900億円と700億円上方修正した。
上期と下期でみると、下期の実力利益は4567億円と上期より1400億円程度のプラスとなる。国内は市況分野について値上げを打ち出し、実行しており、マージンの回復を図る。生産出荷は上期に千葉での豪雨の影響で出荷のずれが起きたが、下期に取り返していく。内需は下期に少し増えるので捉えていく。海外は上期に比べ540億円ほどのプラスを予想し、そのうちUSSは安定生産に努め、320億円増えるとみている。下期の予想の確度が高いと考えている。
USSはグループの稼ぎ頭として力強く牽引している。昨年の利益はマイナス56億円だったが、26年度の予想は5月時点で1000億円、8月に1800億円以上、今回2300億円以上に見直した。市況の動向を慎重に見極めた上で上方修正している。前年から2400億円改善するうち、1300億円は収益改善努力と認識している。操業シナジーを3億ドルと前倒しで発揮している。米国の鋼材市況は市況が続伸しているが、熱延コイルのリードタイムが9―10週と長期化し、流通在庫は過去最低レベルにあり、製鋼の稼働率は80%を超え、薄板の輸入は増えていない。米国経済、鉄鋼需要は大変強く、追い風になっており、しっかり捉えていく。
成長に向けた主な取り組みとして、国内では8月に名古屋製鉄所で新熱延ミルに商業運転を開始し、順調に立ち上がっている。グループ総合力の最大化として山陽特殊製鋼を来年4月に控え、本格的にシナジーの最大化に努めていく。日鉄ソリューションズはアンソロピック社と戦略的なパートナーシップ契約を締結している。
海外ではUSスチールがモンバレー製鉄所での熱延設備の新設を決定した。約30億ドルと大きな投資であり、これを含めて戦略投資は累計で67億ドルを成案化している。NSSKは10月1日に直接出資体制に移行し、電気炉と酸素プラントの設備投資約9億ユーロを決定し、このうち3億5000万ユーロはスロバキア政府から補助金を受ける契約を締結した。欧州での当社グループの脱炭素・成長戦略を加速する。
――米国の中間選挙の結果を受けて鋼材需要の変化など米国事業への影響は。
「動向を注視しており、環境の変化に対応できるよう努めていく。外部環境に左右されない強靭な収益構造を作り上げるのが大方針であり、成長市場でグローバル戦略を構築してきており、USスチールについてこれまでの戦略や方向性は間違っていなかったと確信している。米国の熱延市況は足元ショートトンで1400ドル、メトリックトンベースで1500ドルを超えている。関税政策で上がったのではなく、米国の経済が強いということだと考えている。データセンターなど過熱感は増しているが、人口が増え、高級鋼の大きな市場であり、自動車産業が堅調など安定化している。米国で心配するのは経済の動向だが、お客様が求める最高級の鉄鋼を造る企業として品質や生産性、コスト、デリバリーを磨いていくことで環境が変化しても大丈夫と考えている」
――欧州事業は鋼材市況が上がり、利益が改善している。NSSKは操業支援で収益力が上がり、欧州事業の利益がさらに増えていく見通しか。
「欧州はセーフガード後継措置やCBAMなどで守られた市場であり、需給はタイト化し、鋼材市況が米国ほどではないが緩やかに回復している。NSSKに11月時点で5人派遣し、27年初めに派遣を増員して操業の安定化に努める。自動車産業が東欧にシフトしているので立地競争力を生かして利益を上げていく」
――中国による過剰生産の影響について変化はみられるのか。
「まったく変わらないと考えている。内需がさらにシュリンクする中で能力削減や生産の削減が内需の見合いではできていない。輸出圧力が高まっている。当社の海外事業で最も苦戦しているのがASEAN地域となる。インドは鋼材市況が上がり、需要が伸びていくのであまり心配していない。能力増強対策を急いでいる。タイは市況が右肩下がりであり、これは明らかに中国材の流入によってマージンが確保しにくく、苦戦している。G/GJスチールに派遣団を送り、自助努力を行い、コストをかなり下げているが、なにより環境が悪い。中国の影響を大きく受けている」















