――4つの事業セグメントを取り巻く環境から。
「『エネルギーインフラ』セグメントの主力企業はTBグローバルテクノロジーズで、船と設備をつなぎ、液化ガスを荷役する装置・ローディングアームを主体に扱う。世界では使用時にCO2発生を抑える、水素やアンモニアなどにシフトする『エナジー・トランジション』の流れが出ている。一方、これらを本格的に活用するまでの移行期間において、比較的クリーンな化石燃料・LNG(液化天然ガス)のニーズが増えており、新エネルギーやLNGに対応するローディングアームなどの開発を進めている。国内の電力会社向けのアンモニア用ローディングアームを受注し、また川崎重工業と共同で開発した液化水素輸送に対応するローディングアームが『液化水素サプライチェーンの商用化実証』で適用される計画で、チャレンジした成果が出ている」
「鉄鋼製品や非鉄金属製品を販売する『マテリアルサプライ』セグメントについては、東京貿易マテリアルが自動車部品用ステンレス製品のインド向け輸出に注力している。米自動車部品大手・テネコのインド法人向けに日本のステンレス製品を輸出し、現地で製造する排気部品などに採用されており、取引は年々拡大している」
「『イメージソリューション』セグメントは、ティービーアイによるセキュリティー機器の開発・製作・販売がメイン。案件の遅延などによって、前期で監視カメラ関連の販売数量が減ったため、4セグメントの中で唯一、減収減益となった。顔認証など価値ある製品を提供し続けることが重要だ。『スマートマニュファクチャリング』セグメントは、東京貿易テクノシステムが三次元測定機の開発・製造・販売を通じて、モノづくりのオペレーション高度化のためのソリューションを提案している。最大の需要家である日本の自動車メーカーは米国関税措置の影響で苦戦を強いられているが、セグメント収益は伸長。検査工程だけでなく、量産工程での採用を目指し、需要家の自動化や省人化をサポートする」
――中東情勢悪化による影響はどうか。「ローディングアームは中東エリアからの受注案件の工事などが中断しているが、エネルギー調達の多様化で世界各地から受注が増える可能性が出ている。ここにきて半導体不足も深刻化しており、セグメントによっては手掛ける製品の販売に影響すると懸念している。また日本アドバンスロールでは圧延ロールの製造に必要な重油と電力の料金が高騰しており、採算が悪化している。コスト上昇分については、すべてのセグメントで製品販売価格への転嫁をお願いせざるを得ない」
――前期(2026年3月期)の振り返りと、今期(27年3月期)の目標および施策は。
「前期の連結売上高は前期比11%増の637億円、営業利益は8%の減益となった。『イメージソリューション』の減収減益と、人件費など全社でコストが大幅に上昇したのが減益の要因だ。今期は4カ年の現行中期経営計画の3年目にあたる。売上高については最終年度で1000億円に照準を合わせており、今期は売上高目標779億円で増収増益を目指す」
――海外展開やM&Aは。
「グループ全体に言えることだが、インド向けビジネスに注力する。25年2月に現地法人・東京貿易インドを設立したが、世界のお客様への供給網を構築するべく、現地企業への出資や協業を模索している。播州電装インドネシアはインド企業とワイヤーハーネスを製造する合弁企業をインドに設置しているが販売数量が急増しており、インド向けを増やすための供給体制強化も視野に入れていきたい。米国については現地法人や事務所の設置をスタディしている。M&Aも検討しており、食べもので言えば『塩』のように、当社の規模でも投資が可能だが、既存事業に深みを与え、なくてはならない存在の企業を対象にする」
――中計の進捗はどうか。
「収益目標到達に向けて、残り2年間でキャッチアップできるように取り組む。企業体質改善は着実に進んでいる。25年4月にセグメント経営を本格始動し、既存事業の隣接領域を取り込みながら事業領域を見直してグループ企業を4つのセグメントに再編し、セグメントCEOを設置した。26年4月から主要グループ会社に委任型執行役員制度を導入し、新しい経営体制に移行している」
――新しいグループ体制導入の狙いを。「経営の意思決定や監督機能と、業務執行機能を分けて責任と権限を明確化することで、経営の機動性向上とコーポレートガバナンスの強化を図るのが狙い。これまで社員のトップという位置付けであった執行役員を委任型とし、1年契約に切り替えた。文字どおり、事業の執行を担い、取締役がそれを監督する体制にした。セグメントCEOとグループ会社社長との兼任を解消し、グループ会社トップには40歳代の若手抜擢を含めて専任者を配置している。社員がチャンスを感じて、仕事に対するモチベーションが上がっているようだ」
――人事制度の刷新も検討している。
「グループワイドで評価する制度に見直す予定。これまでの人事制度は長期雇用を前提とした仕組みをベースにしてきたが、時代の変化とともに、またグループと社員の成長のために見直しが必要だと考えている。役割と成果への評価に重きを置きながら、年齢や性別、経験年数にかかわらず、能力を発揮できる仕組みを作る」
――人材の育成にも力を注いでいる。
「25年に人材育成センターを立ち上げており、新入社員から取締役まで、あらゆる階層で教育プログラムを設定し、実行する。採用も積極的に行っており、今春の新卒新入社員はグループ全体で23人となり、キャリア採用も増やしている。人事制度刷新を含めて働きやすい職場環境の創出にも取り組んでいきたい」(濱坂浩司)























