2012年12月6日

古河電工、世界最高の導電率ポリマーフリーカーボンナノチューブ線を開発

 古河電気工業は5日、湿式紡糸法による世界で最も高い導電率を有するポリマーフリーの高密度カーボンナノチューブ(CNT)線を開発したと発表した。絶縁体のポリマーを含まず、密度も高めたことで、導電率は従来の湿式CNT線と比べ20倍以上に改善。銅線などとの差はまだ大きいものの、さらなる高密度化などの研究を進め、将来的に軽くて高強度な自動車用ワイヤハーネスなどとして実用化を狙う。

 CNT線は、乾式と湿式の紡糸法がある。湿式紡糸法は、溶液中に分散させた細かいCNTに凝固液を加え、線を形成する方法。従来は凝固液に接着剤の役割を果たすポリマーを加えており、これが導電率を上げるうえで障害になっていた。

 産業技術総合研究所との共同研究により、カーボンナノチューブを適切に分散し、凝固液にポリマーを含まない有機溶剤を用いて高密度に紡糸するプロセスを開発。導体1センチメートル当たりの電気伝導率を2800ジーメンスと、従来品の100ジーメンスから大幅に高めるのに成功した。長さは約80センチメートルまで造れる。

 CNTの比重は銅の6分の1程度。自動車用ワイヤハーネスなどで銅線に混ぜたり、置き換えたりすることで、軽量化につなげられる可能性があるとみている。

 ただ、銅線やアルミ合金線と比べると導電率はまだ2桁の差がある。CNT線を電線用途で実用化するには、導電率をさらに大きく高めることが必要となってくる。同社は、CNT素材の高純度化と、線の高密度化技術で将来的な実用化を目指す。









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