2012年9月12日

田中貴金属、強度10倍の高温用熱電対素線を開発

 TANAKAホールディングスは11日、高温用温度計に使われるプラチナの素線に酸化ジルコニウムを添加することで、高温下での強度を10倍に高めることに成功したと発表した。素線の破断による高温用温度計の故障が大幅に減少し、ユーザーの運用効率向上やコスト削減につながる。

 このほどグループの田中貴金属工業が開発した「TEMPLAT」は、1000―1600度の高温領域を測れるR型熱電対に使われる負極用の素線。鉄鋼や半導体、ガラスなどの製造工程で温度管理するのに使われる。

 現在R型熱電対の負極に使われている純プラチナの素線は、室温では150メガパスカルの応力がかからなければ破断しないが、1400度の高温下だと2メガパスカルというわずかな応力でも100時間で破断する。このため、使用者は複数の熱電対を設置するか、熱電対の直径を大きくするなどの対策が必要で、運用効率が悪くコストも高かった。

 TEMPLATは、プラチナの下地組織に酸化ジルコニウムを分散させたもの。これにより20メガパスカルまで耐えられるようになり、破断トラブルを大幅に減少させられる。TEMPLATは、温度測定の許容精度でも、国際電気標準会議が定める規格で最も精度が高いクラス1を達成している。









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